メルマガ登録
 
2018年12月
« 10月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  
twitter
facebook

NHKは中国の宣伝機関なのか

 昨夜放映されたNHKスペシャル「中国文明の謎①」は噴飯ものだ。

 中国政府の視点や価値観で番組を作り、それを日本人相手に放映しているのである。日本の専門家あるいは日本人の立場からの中国文明像を放映するのであれば理解できるが、それは微塵も感じられなかった。これでは受信料を支払う気力が萎えてしまう。

 このNHKスペシャルは中井貴一氏をナビゲーターとして中国文明の謎に迫ろうという趣旨であり、古代4大文明の中でなぜ中国文明だけが滅びることも、分裂することもなく継承されてきたかを探ろうとするものである。しかし、これは中国の学校で現在教育されている思想にしか過ぎない。これは歴史の捏造であり、間違いである。

 中国の歴史は少し勉強すれば分かる通り、統合と分裂の繰り返しの歴史であり、分裂の時期も相当に長いし、少数民族に支配されたこともある。つまり、中国文明は継続していないのだ。また、中華民族が古代から現代まで継続してきたというのも怪しい。漢王朝滅亡後の黄巾の乱で人口は10分の1まで減少し、それを埋めるように北方民族が中原に進出してきている。漢民族はすでにこのときに滅んだと言う専門家もいるほどだ。

 隋と唐は漢民族が樹立したと中国では教えられているが、北方民族の血が相当混じっているのが事実だ。元と清のみが異民族と信じられているが、中国の歴史において漢民族の正統性は決して強くはない。

 番組では殷の前に夏が存在したという前提で、河南省二里頭村にその時の王朝の姿を3Dで再現してみせている。夏王朝の宮殿の基本構造はその後の王朝でも変わることはなかったことにより、夏こそ中華文明の源流であると結論づけている。これは中国政府の見立てであり、歴史観である。中国の専門家は夏王朝が存在したと信じているが、世界の専門家は必ずしもそれに同意している訳ではない。証拠が不十分である。

 また、宮殿の前の広場で行われた宮廷儀礼こそが中国全土の統治の権威だったと中国人学者はテレビで主張しているが、もしそうであれば、皇帝制度が崩壊した1911年以降、中国は何の権威によって支配されているというのだろうか。現在の支配構造は共産主義イデオロギーであり、人民解放軍であることは1989年の天安門事件で明白になったではないか。

 その学者はこう言うべきであろう。

「皇帝制度は武力のみならず宮廷儀式で中国の民を支配してきたが、現在は中国文明にそぐわない統治手法を採用しているため、中国の政治は不安定になっている。手遅れにならないうちに、皇帝制度を復活させるべきだ」と。

 中国人には共産党員も含めて共産主義の正統性を認めるものはいない。彼らは現実主義者だ。中国政府は中華民族の統治の正統性として夏王朝を持ち出し、我々は華夏の子孫であると全土でキャンペーンを行っているのである。分裂しかねない国家を華夏という新しい概念で必死に結び付けようとしているのだ。

 中国政府が自国民にどのような歴史観を植え付けるかは彼らの問題であるので、それを批判しようとは思わないが、我が国のNHKが無批判的に中国政府のプロパガンダに乗り、それを日本人に対して放映するとはどのような意図があるのだろうか。

 仮に中国経済が7%の勢いで成長すれば、10年後は日本の経済規模の2倍、20年には4倍になる。こうなってしまえば、日本は経済的にも政治的にも文化的にも中国に呑み込まれてしまうのは必至である。中国は共産党が支配している限りにおいて、日本にとって脅威なのだ。そんな現実的な認識もなく、中国政府のプロパガンダをそのまま電波に乗せるのは止めてもらいたい。(2012年10月15日、寺岡伸章)

12345 (24 投票, 平均値/最大値: 3.96 / 5)
読み込み中 ... 読み込み中 ...