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正義と美

 先日、中学生時代の同級生とゴルフをラウンドし、クルマで自宅まで送ってもらった。そのクルマの中での会話。彼が悩みを告白する。
「俺は61歳になったけれど、65歳までしか働けない。その後、何をして過ごしていいか分からず、怖いような気がする」
「今まで会社や家族に時間を拘束されてきたので、人生の後半は好きなことをやればいいよ」と私は気楽に答えた。
「今日は同級生3人でゴルフをやって楽しかったけれど、それも月1回で、他の時間は何をやればいいのかよく分からない」
 私は心の中でため息をついた。彼は続けて話す。
「ミニバレーを週1回やっていて、その後で行きつけのスナックに飲みに行くのが楽しみなのだが・・・」
「いいじゃないか。若い女性に囲まれて楽しいじゃないか。俺はそんな趣味はもう卒業したけど。お金がもったいない。そんなことにお金を使うよりも美味しいものを食べたい」私は正直に答えた。
「俺にはゴルフとミニバレーと飲むことくらいしか楽しみがない。これだけじゃ、退職後の時間が潰せない。お前はいいよな、多趣味で」彼は自由時間を本当に怖がっているのだ。
 私は還暦で定年退職し、仕事はやっていない。人生の価値観も変えた。現役時代は、大げさに言えば、仕事を通じて正義を実現することが任務だったと思う。でも、今は違う。美しいものを追求することが任務だと信じている。
絵を描くこと、美しい自然を愛でること、旅行に出かけてかけがえのない文化や伝統に接すること、美しい心の人々と交流すること、美味しいものを食べること、美しい物語に接すること、理想や希望を大切にして生きること、政治や経済など醜いものから遠ざかること。
美は永遠であり、正義よりも人間を幸福にする。そう心から思う。
「人生は美しい。世の中は美しいもので溢れている。自分に合った美しいものや物語を探し、それを享受することが生き甲斐ではないのか」私はそう言った。
 彼は怪訝な顔をして言った。
「お前の話は昔から難しすぎてよく分からない。この世で楽しいのは酒とゴルフと女くるしか思いつかない」
「3つもあれば上出来ではないか。それを堪能すればいいさ」私はそれでいいのだと再認識した。

(2017年12月23日、寺岡伸章)
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