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ブエン・カミーノ Buen camino.

 北スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂までの700キロの世界遺産の道を歩く巡礼の旅は数日後に始まる。サンティアゴ・デ・コンポステーラはカソリック教徒にとってバチカン、エルサレムに次ぐ第三の聖地で、この大聖堂にはイエスの直弟子で殉教したヤコブが祀られている。8世紀初頭から15世紀末にかけてイベリア半島は当時文明の進んでいたイスラム勢力の支配下に置かれていたが、カソリックは奪還すべくラコンキスタ運動を展開していた。サンティアゴ・デ・コンポステーラはイスラム勢力の支配下に落ちていなかったが、ヨーロッパ各地のカソリック教徒の大聖堂までの巡礼の旅はラコンキスタ運動の精神的支柱になっていたと容易に想像される。12世紀には年間50万人の信者が大聖堂まで旅行していたと記録に残されている。当時の巡礼旅は厳しく、途上で天災で遭難に合ったり、賊や狼に襲われて命を落とす者も少なくなかった。

 現代は神の存在を信じなくなった世紀だ。物質的には豊かになったが、精神状態は殺伐としている。消費こそ生きがいと見なされている。消費を貪るため、お金を稼ぐことや経済成長が人々の関心事項になっている。終日、大人も子供も年金生活者もお金のことを考え、奴隷になっている感さえある。さらに、死後の世界を本気で信じている者は少なく、死ねば終わりと絶望しつつ、怯えた生活を送っている。

 現代の大聖堂までの巡礼はラコンキスタ時代とは大きく異なる。真に宗教的理由で歩いている者は少なく、別の理由で大聖堂まで辿り着こうとしている。離婚や配偶者の死別で傷ついた心を癒す人、自分とは何かと問い続けながら歩く人、長距離歩くと言う目標達成を設定した人、道中の世界遺産を鑑賞するために歩く人、出会いや交流を求めるために出かける人など様々だ。大聖堂前では苦しかった巡礼の旅を終えて感激のあまり、泣いたり、抱き合っりする人々の姿が見られるという。やっと終わった。もう歩かなくてよい。でも、旅が終わるのは、なんだか寂しい。複雑な気持ちになるのだろうか。良い友達と別れるのは辛いに違いない。

 さて、わたしの巡礼の目標は何なのだろうか。頭を整理するために書き出してみた。
1.100キロウォーキング大会での自己新記録達成のため鍛錬
2.スペイン語、英語の上達
3.世界の友達作り、心のふれあい
4.巡礼記の執筆、FBへの掲載
5.巡礼を題材にした小説書き
6.田舎風景や大聖堂のスケッチ
7.減量、若返り
8.奇蹟の体験
9.異文化体験
10.同行する妻への感謝
 
 これらの中で、8.奇蹟の体験ができるかどうかに関心が集まる。聖地でスピリチュアリティを感じ、神に近づき、何らかの奇蹟が身辺に起こるかどうか楽しみだ。
 それにしても、天空からわたしを見下ろしている絶対神はどのような思いで、わたしの巡礼の旅を捉えているのだろうか。目標はヤコブの大聖堂に到着することではなく、道中にあるのは確かだ。人生最高の旅にしたいものである。
 ブエン・カミーノ。良い巡礼を!

(2017年5月29日、寺岡伸章)
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