メルマガ登録
 
2017年6月
« 5月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
twitter
facebook

人生は気づきの積み重ね

 文科省の定年退職を前にしてわたしの心は清々しい。役所は天下り問題で存亡の危機に瀕し揺れていて、定年退職者は再就職できず「浪人」という中途半端な状態に置かれていて可哀想だが、「俗世間」で生きることを諦めた者としては気は楽だ。これからの人生は余計なことはせず、シンプルに生きたいと思っている。過去の栄誉も失敗もしがらみも要らない。60歳にして生まれ変わるのだから。

 村上春樹の小説『1Q84』の世界では、空中に2つの月が浮かんでいるが、主人公以外には誰もその存在に気が付かないという場面がある。みんな忙しくて下を向いて歩いていて、空を見上げようとしないからだ。月が2つもある世界は奇妙だが、その存在を認知できないのも変だ。でも、妙なリアリティがある。

 わたしはウォーキングが趣味の一つに持つが、真っ暗な夜明け前に着替えて外を散歩することがある。散歩しながら体が温まってくると、幸せな気分になる。周囲は次第に明るくなり、山の稜線も確認できるようになる。それからしばらく歩いていると、太陽が地上に顔を出す。地球創造の瞬間だ。地球は毎朝新たに生まれ変わっていることに気が付く。なぜこんな単純なことに今まで気が付かなったのだろうか。いろいろ本を読んだり、議論したりしてきたものだが、地球誕生のことは認知することはなかった。まさに認知症に罹っていたようなものだ。自分はバカだったと知らされる。

 日の出はじつに有り難い。天の恵みであり、生命の源だ。太陽によって生物は生かされているのがよく分かる。自然と両手を合わせてしまう。感謝しています、今後ともよろしくお願いしますと心の底から祈る。日本人は戦前、日の出を拝んでいたが、今では誰も拝まなくなった。その存在さえ人々は忘れてしまったかのように見える。ちょうど、2つの月が天空に浮かんでいるのに気が付かないのと似ている。人は見ようとしないものは目に映らない。もちろん心にも投影されないのだ。

 世の中は神秘と創造性に溢れている。神は美しい自然を我々に遺してくれている。それを楽しまない手はない。過去の芸術家や科学者は絵画、音楽、建築、小説、科学などを後世の我々に遺してくれている。文明のエッセンスが凝縮している人類の最高の財産である。これを享受しない手はない。そこには「人生は素晴らしい」という大切なメッセージが込められているからだ。

 ある程度年齢を重ねて来たら、肩の上の荷物を降ろしてシンプルに生きよう。今まで気が付かなかったことを大切にしよう。おてんとうさまに向かって手を合わせよう。みんなに感謝しよう。鎮守の森に出かけて神仏に向かって手を合わせよう。それをやるだけでも今まで知らなかった世界が見えてくる。唯物論や合理主義の立場で気が付かなかったじつに大切なもの、それは普遍的な言葉で説明できないが、それが分かるはずだ。

 早寝早起きはバイタリティーの源泉なのだから、即実行しようではないか。

(2017年3月28日、寺岡伸章)
12345 (まだ評価されていません)

読み込み中 ... 読み込み中 ...