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偉大なプラセボ効果

 信じる者は救われると言われるが、我々の身体は病気になったとき偽薬を飲まされても、効き目がある場合がある。身体が本物の薬と認識し、それによる効果が現れるのである。不可思議である。偽薬を飲まされているときの脳の中をチェックしてみると、真薬の場合と同じように反応していることが判った。人間はそもそも騙されやすいように作られているのだ。振り込め詐欺を笑うことはできない。

 このようなプラセボ効果があるため、新薬の承認に当たっては新薬が偽薬よりも効果があることを治験で実証しなければならない。一般的に、プラセボ効果は3割の患者で現れると言われているため、その数字を超えなければならないのだ。3割とは凄く高い数字である。我々の身体に備わっているこの高いプラセボ効果を前向きに捉えて、病気を治そうという試みが行われている。逆転の発想である。

 投薬や手術など悪い部位を攻撃したり、切除したりする分析的発想ではがん、心臓病、脳疾患などいわゆる生活循環病は完治できないとして、欧米では代替医療と言われる治療方法が試みられている。東洋の鍼灸やマッサージ、ペット療法などの安心や楽しさなど心の状態を重視する療法である。信頼できる名医に診ていただくだけで、治療効果が高まるとも言われている。鍼灸師の中でには、身体の持つプラセボ効果を治療によって如何に最大限に引き出すかを研究している専門家もいる。赤ん坊の夜泣きや子どもの登校拒否で鍼灸師を訪れる人も少なくない。信頼できる鍼灸師の治療で好転するというのだから、プラセボ効果もバカにはならない。

 医学が未発達な時代には祈祷によって病気を治療していたが、それを非科学的と切り捨てることはできないのだ。イエスの手に触れられて難病が治ったと言われているが、誇張されているとは言え、神聖を高めるための作り話とばかり否定するのはよくないのかもしれない。

 むろん、すべての病気がプラセボ効果で治るとは言えないが、プラセボ効果は人間が心の生き物であることを証明しているのだ。
 規則正しい生活、適正な食事、運動、笑い、家族の愛、医師との信頼関係があれば、病気は近寄ってこないのではなかろうか。それらがうまく行かなくなったとき、投薬や手術を頼りにすればよい。最初から薬に頼っていては、偉大なプラセボ効果の出番を否定してしまいかねない。病気を征服するには、古代と現代の融合が必要なのだ。

(2016年5月31日、寺岡伸章)
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