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走るな、歩け!

 金利とは、将来の期待収益率だから、企業経営者はその借入コストを支払っても利益を出せると判断したときにお金を借りる。ところが、今は製品を作ってもモノが売れないから、新たに投資しようとしない。無理に投資して、不良債権になれば、次の株主総会で責任を問われかねないから、経営者は投資に積極的になれない。そのため、内部留保ばかり増えることになる。日本企業は300兆円もの内部留保を抱えていると言われる。一方で、資産ゼロ世帯は3割になっている。資産格差は広がり、総中流階層という神話は消えた。

 日銀はお金を市場に回すべくマイナス金利を導入したが、マイナス金利は資本主義というシステムが機能しなくなっていることを端的に物語っている。成長神話もまた終わろうとしている。日本だけでなく欧州でも短期国債のマイナス金利が定着しつつある。米国の成長も鈍化しつつあるし、BRICsの新興国にも成長神話の終焉は伝播していくことだろう。中国は長期低迷の時代を迎えつつある。
 このような状況下で、成長こそみんなを幸福にするとして突き進むのはドン・キホーテのような振る舞いに見えてくる。

 下部構造の経済が変われば、人々の価値観も変わっていくことだろう。「より多く持ち、より速く、より遠く、より便利に」はダサく感じるようになってくる。「ほどほどに持ち、よりゆっくり、近場で、寛容に」の大人びた価値観が広がっていく。ジェット機で海外を飛び回るよりも、国内でゆっくり自動車旅行やバス旅行、あるいは歩く旅行が流行っていくるに違いない。多くの資産を持つことよりも、被災者や困っている人々を助けるボランティア活動が頼もしく思えるようになるだろう。忙しく動き回ることから何事もゆっくりやることが大事と変わりつつある。モノから心への転換だ。成長にとって合理的と考えられた中央集権システムよりもゆったりとした地方の時代が豊かだと信じられる時代が来ている。

 効率的、合理的に考え、行動するのではなく、ゆっくりと味わって時間を過ごそう。
 成長重視のアベノミクスや、GDP600兆円の幻想から我々の心は解き放たれる必要があるのだ。

(2016年4月30日、寺岡伸章)
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