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エッセイ・小説

平凡な一日

 お元気ですか。わたしも元気です。
 定年退職の身には毎日が日曜日で、曜日の感覚がありません。
 今日は、いつものように早朝からNHKラジオの外国語講座で、英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、中国語の番組を聴きました。海外に旅行に行ったとき、どこまで通じるか楽しみです。
 朝食後、市立図書館に行って、芥川龍之介全集と透明水彩画の本を借りました。ついでに、図書館主催の文学散策ツアーを申し込みました。いつまでも、文化を愛する人でありたいです。
 帰宅すると、すぐに『蜘蛛の糸』に目を通しました。何十年ぶりに読んで大変懐かしく思いました。文章の切れ味はやはり鋭いですね。それから、水彩画の本を参考に、絵を一枚描きました。ヨーロッパの田舎ののどかな風景です。描くば描くほど旅情が募ってきます。今年もスペインの田舎道を歩いてみたくなります。
 妻の作ってくれた美味しい昼食を食べながらビールを飲んでいたら、眠くなりました。昨日走った30キロの疲れがまだ残っていたようです。2時間昼寝したらすっきりしましたので、源氏物語の古文と英訳を並行して読もうとして悪戦苦闘です。土曜日の勉強会の準備ですが、落ちこぼれてしまいそうです。
 午後5時になると、TVで大相撲を観戦しながらまた冷えたビールを飲みます。至福のひと時です。
 こうやって一日が過ぎていきます。わたしは幸福なのでしょうか、それとも苦労症なのでしょうか。
 あなたは今幸せですか? 毎日有意義な時間を過ごしていますか?

(2018年1月17日、寺岡伸章)
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年間スケジュール

 今年1年間やりたいことややるべきことを書き出してみた。
 1月。2月中旬の熊本城マラソン大会に向けた走り込みとして30キロ走8回。新たに水彩画絵と源氏物語の英訳読解に挑戦開始。
 2月。マラソン大会5時間切りの目標。それが終われば、家族で大宰府への1泊旅行。梅の花を観賞し、名門旅館でゆったりしたい。
 3月。初孫が無事出産すれば、初対面のため上京。ついでに、かつての職場の仲間と同窓会をやったり、美術館巡りを楽しみたい。4月からのサンティアゴ巡礼に向けて準備。
 4月。結婚28周年で天草か南阿蘇の旅館でくつろぎたい。下旬にはサンティアゴ巡礼の徒歩1000キロの旅に出かける。
 5月。ずっとスペインを歩いているはずだが、巡礼終了後は芸術の都パリで、美術館巡りだ。
 6月。いよいよ始まるワールドカップサッカー大会でテレビ釘付けになるだろう。
 7月。特段の予定はまだないが、ゴルフ三昧の日々か。
 8月。展覧会に水彩画を出品するために、絵描きに集中。神経を休ませるために、水泳を楽しもう。
 9月。10月の行橋別府100キロウォーク大会に向けて特訓。
 10月。100キロウォーク大会は16時間台が目標だが、果たして達成できるか。20日の地元の花火競技大会は桝席で鑑賞したいものだ。
 11月。妻と奄美大島を歩いて一周したい。250キロくらいあるかな。23日は世界文化遺産に登録されたお祭りを堪能したい。母の7回忌を迎える月でもある。
 12月。今年も年賀状はすべて手書きの水彩画を描き上げたい。
 一年間の予定はこんな感じになった。健康に留意しつつ、スポーツと文化を享受する年にしたい。新しい出会いも大切にしたい。予定外の楽しいことがあれば、さらに素晴らしいだろう。
 あなたにも自分に合った良い1年を過ごしてもらいたい。

(2017年1月4日、寺岡伸章)
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今年の総決算

 今年は定年退職し、人生の新しいステージに移行した年だった。膨大な自由時間に圧倒されるか、それをうまく活用するかで人間力が試されるような気がする。勝負は五分五分だったかもしれない。
 今年のイベントとしては、サンティアゴ巡礼800キロの徒歩旅行を妻と歩いたのは記念すべきことだった。表面上は素晴らしい定年退職記念旅行なのだが、内実妻は毎日20数キロの徒歩に相当苦労したようだった。何事にも日向があれば、陰もあるということだ。
 この巡礼に気を良くした私は四国歩きお遍路1200キロの旅にも挑戦し、ほぼ予定の41日間で結願(けちがん)することができた。サンティアゴよりもお遍路は厳しい道のりだった。即身成仏までは至ることができず、人間の業の深さを改めて思い知らされた。
 スポーツでは、2月の熊本城マラソン大会、4月と5月と10月の100キロ超ウォーキング大会を完歩したのは嬉しい。結構厳しいため、友達にはあまり勧めないが、自分としてはこんな苦行に挑戦する自分に大変満足している。行橋別府100キロウォーク大会では17時間42分でゴールし、4600人中302番だったのは非常に嬉しい。これが自己最高の成績か、来年更新できるかはやってみないと分からない。いつか限界がやってくるのだが、それは神仏に任せるとして、自分は前を向いて前進するのみだ。
 ゴルフはまだスランプから脱出していない。90を切ったのが1回しかなかったのは恥ずかしい。ピークは過ぎたかもしれないが、来年はしっかり取り組まなければならない。
 文化面では、絵描きを始めたのは新鮮だった。1年間で数十枚の絵を描いただろうか。予想以上の出来栄えに自己陶酔しそうになったこともあった。こんなこともないと、人生やってられないけれど。お遍路の途中で絵手紙を描いたり、年賀状はすべて水彩画にしたのは新しい試みだった。受け取った友人たちに喜んでもらえると大変うれしい。来年は賞を目指してさらに頑張りましょうか。
 文芸の方では、小説や旅行記を書いて地元の文芸誌に投稿したのだが、反響が今一つパッとしなかった。新しい作品へのチャレンジが必要なのかもしれないと思った。
 語学のほうは、英語と中国語に加えて、スペイン語、ドイツ語、フランス語に挑戦した。スペイン語はサンティアゴ巡礼でサバイバルレベルには達したものの、次のステージに向けて頑張っていきたい。ドイツ語は、大学時代の第二外国語だったためか、習得が速いように感じる。フランス語は発音に違和感を覚え、入口で挫折しているような状態だ。加えて、ラテン語の入門書を買ったのはいいが、第一章をまだ読み終えていない。気が向いたときに、ボチボチやるしかない。
 こんな一年だった。自己採点では80点くらいなのだが、他人からみるともっと高得点が得られるだろうか。でも、得点と幸福度は比例関係にあるとは限らない。幸福は果敢な挑戦よりも、平安な心から得られるのである。挑戦ばかりの人生では深い幸福感は得られない。
 でも、病気と怪我をしなかったのは幸運だったと言うしかない。いつどんな事態が襲ってくるか分からない。一日一日を大切に生きるしかない。人間に左右できないことは多々ある。神仏に幸運を祈願しつつ、来年も精一杯頑張ることにしよう。
 元旦からよいスタートが切れますようにと願いつつ、今年を締めくくろう。昔、一年の計は元旦にありと言ったような気がする。
 来年もよろしくお願いします。

(2017年12月31日、寺岡伸章)
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正義と美

 先日、中学生時代の同級生とゴルフをラウンドし、クルマで自宅まで送ってもらった。そのクルマの中での会話。彼が悩みを告白する。
「俺は61歳になったけれど、65歳までしか働けない。その後、何をして過ごしていいか分からず、怖いような気がする」
「今まで会社や家族に時間を拘束されてきたので、人生の後半は好きなことをやればいいよ」と私は気楽に答えた。
「今日は同級生3人でゴルフをやって楽しかったけれど、それも月1回で、他の時間は何をやればいいのかよく分からない」
 私は心の中でため息をついた。彼は続けて話す。
「ミニバレーを週1回やっていて、その後で行きつけのスナックに飲みに行くのが楽しみなのだが・・・」
「いいじゃないか。若い女性に囲まれて楽しいじゃないか。俺はそんな趣味はもう卒業したけど。お金がもったいない。そんなことにお金を使うよりも美味しいものを食べたい」私は正直に答えた。
「俺にはゴルフとミニバレーと飲むことくらいしか楽しみがない。これだけじゃ、退職後の時間が潰せない。お前はいいよな、多趣味で」彼は自由時間を本当に怖がっているのだ。
 私は還暦で定年退職し、仕事はやっていない。人生の価値観も変えた。現役時代は、大げさに言えば、仕事を通じて正義を実現することが任務だったと思う。でも、今は違う。美しいものを追求することが任務だと信じている。
絵を描くこと、美しい自然を愛でること、旅行に出かけてかけがえのない文化や伝統に接すること、美しい心の人々と交流すること、美味しいものを食べること、美しい物語に接すること、理想や希望を大切にして生きること、政治や経済など醜いものから遠ざかること。
美は永遠であり、正義よりも人間を幸福にする。そう心から思う。
「人生は美しい。世の中は美しいもので溢れている。自分に合った美しいものや物語を探し、それを享受することが生き甲斐ではないのか」私はそう言った。
 彼は怪訝な顔をして言った。
「お前の話は昔から難しすぎてよく分からない。この世で楽しいのは酒とゴルフと女くるしか思いつかない」
「3つもあれば上出来ではないか。それを堪能すればいいさ」私はそれでいいのだと再認識した。

(2017年12月23日、寺岡伸章)
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幸せになる簡単な方法

 人間は誰でも幸せになりたいと思っているが、それは容易いことではないようだ。いつも何かに不満を抱いているし、生き甲斐やワクワク感を求めるため夢を設定しそれに向けて努力をしようと苦闘する。現状のままでは駄目だと発展するために頑張ろうとする。じつはここに幸福を阻害する落とし穴が存在する。
 そもそも人間は類人猿から進化してきたため、集団生活から逃れられない。自分の価値は所属する集団や社会によって規定されてしまうのだ。集団そのものは発展しようとする力学が働くため、個々人の競争を促し、能力を向上させることを要求する。隣人に嫉妬したり、羨んだりするのは自然な感情である。相手が失敗するか、自分が進歩すれば、集団や社会における相対的な価値は向上する。嫉妬心は心を不安定にし、進歩への希求は努力を伴う。いずれも自分の心と戦わなければならないため、苦痛を伴う。すなわち、幸福にはなれない。

 今生きている資本主義社会は分かりやすく言えば、お金の争奪戦である。多く持つ者が勝者であり、幸福を手にすることができると信じられている。競争に参加しなければ、お金を得られないが、競争は勝敗を明確にし苦痛を生じる。競争によって社会は発展するが、個人はなかなか幸せを得られない。

 幸せになるために、どうすればいいのか。答えは現状に満足することだ。今自分の置かれた立場や状況を受け入れ、感謝することだ。健康や家族や仲間や社会に対して心から感謝することだ。感謝の気持ちが幸福感を呼び覚ます。獲得したお金の額は関係がない。現状に不満を抱くものは将来発展の可能性が高いが、永遠に幸福にはなれない。
 人間的な生き方をしたいのであれば、社会と少し距離を置いておく必要があるのかもしれない。ゆめゆめ社会の歯車になってはいけない。

(2017年12月21日、寺岡伸章)
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年賀状描き

 今日は九州でも今年最大の寒波が訪れ、スポーツクラブに筋トレに行った以外は家で過ごしました。寒いので、家に籠って年賀状描きがはかどるのは悪くはないですね。
 今年から絵を描くようになったため、年賀状はすべて水彩画を描くことに決めました。でも、1日頑張って描いても10枚に届くことはありません。それでも20日くらい続ければどうにか100枚くらいは描けるのではないかと思っています。同じような図柄は数枚に止めていますので、およそ20種くらいの絵を描くことになります。まだあまりうまく描けないのですが、それでも受け取った人に喜んでもらえるのではないかという期待を抱いて描いています。
 絵を描くようになって、世の中が美しく見えるようになりました。ホントです。今まで自然を観察するにしても、ただ美しいなと思っていたのですが、今ではこの自然を描くとしたらどのような構図にするか、どのようなタッチにするか、色彩はどう選ぶかと無意識のうちに考えています。自然観察がぐっと深まった感じです。人物でも同じです。特徴のある顔の方が描きやすいです。皺やほくろやシミがある方がそれを手掛かりに描けます。すると、本人に似て来るので不思議です。美人やイケメンは却って描くのが難しですね。これも絵を描くようになったために気付いたことです。
 今日は今まで最多の9枚の年賀状を描きました。自分で撮影した写真を元に描いたり、図書館で探した絵手紙のモデルを参考としたりしました。描いているときは緊張したり、少々辛かったりしますが、完成したものを見ると、きっと喜んでもらえると思えます。少しだけ苦労して描いた年賀状の方が印刷だけのものよりも好印象を与えることができるでしょう。
 年賀状で心を繋げていきたいです。どうですか、今年の年賀状は絵でも描きませんか。

(2017年12月14日、寺岡伸章)
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